他店施工・再施工
カーコーティングは、塗装表面を保護し、艶や防汚性、メンテナンス性を高めるための施工です。
ただし、使用するコーティング剤が高性能であっても、それだけで高品質な仕上がりになるわけではありません。
実際の仕上がりは、
下地処理
研磨
脱脂
塗布
拭き取り
確認
硬化
施工後のメンテナンス
といった一つひとつの工程の積み重ねで決まります。
E.C.D GARAGEには、他店でコーティングを施工したあとに、
「ムラのようなものが見える」
「拭き跡が消えない」
「施工後すぐにシミが出た」
「コーティングしているのに水ジミだらけになった」
といったご相談で入庫する車両があります。
状態によっては軽度の修正で改善できることもありますが、硬化したコーティング被膜や塗装まで影響したダメージでは、研磨による被膜除去や再施工が必要になる場合があります。
今回は、E.C.D GARAGEで実際に多くご相談いただく他店施工後のトラブルをもとに、なぜ起こるのか、どう判断するのか、どのように修正するのかまで専門店の視点で解説します。
E.C.D GARAGEへ入庫する他店施工後のトラブルの中でも、特に多く確認するのがコーティング剤の拭き残しです。
コーティング施工では、塗装面へコーティング剤を塗布したあと、余剰成分を適切なタイミングで拭き取ります。
この拭き取りが不十分だと、コーティング剤が部分的に厚く残ったまま硬化し、ムラとして見えることがあります。
問題なのは、施工直後に一見きれいに見えてしまうケースがあることです。

照明の種類や角度を変え、パネルライトを当てると、それまで見えていなかった拭き残しがはっきり確認できることがあります。


実際にE.C.D GARAGEでも、通常の照明では問題がないように見えていた部分へ別の光源を当てることで、拭き残しを確認するケースがあります。
太陽光の下へ車両を出して初めて気付くこともあります。
濃色車では特に目立ちやすいですが、淡色車だから発生しないわけではありません。
淡色車では単純に見つけにくいだけ、というケースもあります。
コーティング剤の拭き残しは、硬化前であれば修正できる場合があります。
しかし、一度硬化したコーティング被膜は、基本的に研磨で除去する必要があります。
硬化した被膜をクロスなどで無理に擦って落とそうとすると、強い摩擦が必要になります。
その結果、コーティングムラを直すつもりが、塗装へスクラッチ傷を入れてしまう原因になることがあります。
そのため、
「拭き跡があるから強く擦れば消える」
という考え方はおすすめできません。
まず被膜の状態を確認し、必要であれば研磨によって問題のあるコーティング被膜を除去します。
そのうえで塗装面を整え、再度コーティングを施工します。
つまり、硬化した拭き残しは単純な清掃ではなく、場合によっては再研磨・再施工が必要な問題になります。
コーティングの拭き取りは、単純にクロスで拭けばいい作業ではありません。
使用するクロスによっても、仕上がりに差が出ます。
例えば、
毛足
繊維の密度
吸収性
コーティング剤との相性
クロス表面の状態
などによって、余剰成分の取りやすさや拭き筋の残り方は変わります。
E.C.D GARAGEでは、コーティング施工用として韓国製のクロスをオリジナルで製作し、1,000枚単位で発注しています。
さらに、コーティング施工に使用したクロスは洗浄して使い回さず、完全に使い捨てとしています。
1台のコーティング施工で使用するクロスは、おおよそ10枚前後です。
同じクロスを長時間使用すれば、クロス側へコーティング剤が蓄積し、拭き取り性能が変化していきます。
また、異物を噛んだまま使用し続ければ、塗装へ傷を入れるリスクもあります。
そのためE.C.D GARAGEでは、コストを抑えるためにクロスを使い回すのではなく、状態の良いクロスを常に使用することを優先しています。
高額なコーティング剤や大きな設備だけでなく、こうした消耗品の管理も施工品質を左右する要素の一つです。
原因は一つではありません。
例えば、
コーティング剤の塗布量
拭き取りまでの時間
温度
湿度
パネル温度
製品ごとの硬化特性
使用するクロス
拭き取り方法
照明環境
最終確認不足
など、さまざまな条件が関係します。
硬化型コーティングは、施工環境によって反応速度や拭き取り可能な時間が変化します。
そのため、
「塗ってから何分後に必ず拭く」
という単純な考え方ではなく、実際の施工環境と製品の状態を見ながら判断する必要があります。
同じコーティング剤でも、気温や湿度、パネル温度が違えば施工感は変わります。
施工者がその変化を把握できているかどうかも重要です。
コーティング施工では照明が非常に重要です。
ただし、単純に照明を明るくすればすべて見えるわけではありません。
面で広く照らす光と、点で強く照らす光では見えるものが違います。
さらに、
光源の種類
色温度
光の角度
パネルとの距離
によっても、スクラッチやコーティングムラの見え方は変わります。
スクラッチ傷を確認しやすい照明と、コーティングの拭き残しを確認しやすい照明が必ずしも同じとは限りません。
そのためE.C.D GARAGEでは、一つの光源だけで判断せず、複数の照明を使って確認しています。
必要に応じてパネルライトや太陽光でも確認します。
「照明が多いから安心」ではなく、その照明をどう使って確認するかが重要です。
E.C.D GARAGEでは、コーティング施工後、
塗布
↓
拭き取り
↓
照明を変えて確認
↓
パネルライトで再確認
↓
必要に応じて別の光源や太陽光で確認
という流れで最終チェックを行います。
この工程を省くと、最初の照明では見えなかった拭き残しがそのまま硬化してしまう可能性があります。
一度硬化してしまえば、先ほど説明した通り、簡単な拭き取りでは除去できません。
だからこそ、硬化する前に見つけるための確認工程が重要です。
次に、E.C.D GARAGEで実際に施工事例として確認しているのが、コーティングの硬化不足によるシミです。

硬化型コーティングは、塗布して拭き取った瞬間に完全な状態になるわけではありません。
製品ごとに反応・硬化していく時間が必要です。
十分に硬化していない状態で水分や湿気などの影響を受けると、被膜表面へシミとして残ることがあります。
状態によっては洗車だけで改善することはできません。
その場合は問題のある被膜を研磨によって除去し、再施工が必要になります。
コーティング剤によって反応の仕組みは異なります。
温度や湿度によって硬化速度も変わります。
製品によっては水分が反応に関与するものもあるため、
「湿度は低ければ低いほどいい」
と単純に考えることもできません。
重要なのは、使用するコーティング剤が求める施工条件と硬化条件を理解することです。
施工スケジュールも、
「この時間までに納車したいから急いで硬化させる」
のではなく、
必要な硬化時間から逆算して工程を組む
という考え方が必要です。
E.C.D GARAGEでは、空調管理された環境で施工し、コーティング剤に必要な条件を確認しながら硬化時間を確保しています。
コーティングムラの原因は、拭き取りや硬化だけではありません。
実際にE.C.D GARAGEでは、下地処理の甘さや脱脂不足が原因と考えられるコーティングムラ(撥水している箇所と親水している箇所)の手直しを行った施工事例もあります。

コーティング施工前の塗装表面には、
スケール
鉄粉
油脂汚れ
微細なスクラッチ
研磨剤の残留成分
簡易撥水剤などの成分
その他の汚染物
が残っている場合があります。
こうした状態のままコーティングを施工しても、表面を均一な状態にすることはできません。
研磨によって塗装表面がきれいに見えていても、そのままコーティングを施工できるとは限りません。
研磨剤には、製品によって油分や施工性を高めるための成分が含まれていることがあります。
その成分が塗装表面に残った状態では、コーティングを施工するための下地としては十分ではありません。
また、洗浄剤や過去に施工された簡易的な撥水成分などが残っている場合もあります。
そのためE.C.D GARAGEでは、研磨後に適切な脱脂工程を行います。
脱脂は単純に「油を拭く作業」ではありません。
これから施工するコーティングが均一に定着できる表面状態を作るための工程です。
脱脂が不十分であれば、
塗布時の濡れ方
コーティング剤の伸び
拭き取り感
被膜の均一性
などにも差が出ることがあります。
E.C.D GARAGEでは、コーティングの品質を考えるとき、塗布工程だけを重視していません。
むしろ、
コーティングを施工できる状態まで塗装表面を整えること
が非常に重要だと考えています。
洗浄。
鉄粉除去。
スケール除去。
油脂汚れ除去。
必要に応じた研磨。
脱脂。
そのあとに、初めてコーティング施工へ進みます。
STANDARDを除くE.C.D GARAGEのコーティングメニューに研磨工程を含めているのも、この考え方が理由です。
研磨は傷を消すためだけの工程ではありません。
塗装表面を整え、コーティングが定着しやすい下地を作るという意味もあります。
新車であっても下地処理が重要な理由については、別の記事でも詳しく解説しています。
「ムラがあるなら、その上からもう一度コーティングを塗れば直るのでは?」
と思われることがあります。
しかし、問題のある既存被膜の上から新しいコーティングを重ねても、根本的な解決にはならない場合があります。
まず確認するべきなのは、
既存コーティングの状態
ムラの原因
塗装表面の状態
スケールなどの汚染
傷の状態
被膜の硬化状態
です。
問題のある被膜が残っていれば、その上から重ねても問題自体は残ります。
必要であれば、既存被膜を研磨によって除去してから下地を作り直します。
ここも判断を誤りやすいポイントです。
水を弾いているからといって、
「コーティング被膜が正常に残っている」
と断定することはできません。
撥水性は、
コーティング被膜
トップコート
簡易撥水剤
油脂汚れ
その他の表面状態
によっても変化します。
反対に、撥水が弱くなったからといって、コーティング被膜が完全になくなったとも限りません。
そのためE.C.D GARAGEでは、単純に水弾きだけを見て既存コーティングの状態を判断することはありません。
洗浄後の表面状態や汚染、塗装状態など複数の要素から判断します。
塗装状態を確認する際に使用する膜厚計も、万能ではありません。
一般的な膜厚計で確認できるのは、基本的に塗装系全体の膜厚です。
そのため、
「コーティング被膜が何µm残っている」
と、既存のコーティング被膜だけを分離して直接測定できるものではありません。
膜厚計は、パネルごとの塗膜状態を確認するための一つのデータとして使用します。
コーティングが残っているかどうかは、膜厚計だけでなく、表面状態や施工履歴、汚染状態などを総合的に確認する必要があります。
ここまで紹介した、
拭き残し
硬化不足
下地処理不足
脱脂不足
は、施工時に起こる問題です。
一方で、それとは別にE.C.D GARAGEで非常に多く見るのが、コーティング施工後のメンテナンス不足です。
そして、その原因として多いと感じるのが、
施工時にメンテナンスの重要性を十分に説明されていないケース
です。
コーティングを施工すると、
「もう水ジミは付かない」
「水を弾いているから問題ない」
「数年間何もしなくても大丈夫」
と思われることがあります。
しかし、コーティング施工車でもスケールは付着します。
雨水や水道水が乾燥した際に、表面へミネラル分が残り、それが蓄積していきます。
初期のスケールであれば、適切なケミカルで除去できます。



しかし、長期間放置すると、
スケール
↓
ウォータースポット
↓
塗装への侵食
へ進行することがあります。
塗装までダメージが進行すると、通常のメンテナンスだけでは改善できなくなります。
これも重要なポイントです。
水滴が丸くなり、強く撥水しているように見えても、その水滴がボディ上へ長時間残っている状態であれば、良い状態とは限りません。
水滴が残ったまま乾燥すれば、その中に含まれるミネラル分が表面へ残ります。
そのためE.C.D GARAGEでは、
水を弾いているかどうかだけでなく、水滴がどのように流れるか
も確認します。
撥水性が残っていても、スケールや油脂汚れによって水滴の滑落性が低下し、表面へ水が残りやすくなっていることがあります。
E.C.D GARAGEがコーティングで滑水性を重視する理由の一つもここにあります。
スケールが表面へ付着している段階であれば、適切なケミカルで除去できる場合があります。
しかし、それを長期間放置して塗装へ侵食させてしまうと、ケミカルでは改善できません。
さらに深くダメージが進行すれば、研磨を行っても完全に除去できない場合があります。
だからこそ、メンテナンスは単純に「撥水を復活させるため」に行うものではありません。
塗装ダメージへ進行する前に汚染物を除去するために行うもの
でもあります。
E.C.D GARAGEでは、コーティング施工後のメンテナンスとして、
MAINTENANCE
と
MAINTENANCE+
をご用意しています。
MAINTENANCEは、主にスケール除去を目的としたメニューです。
スケールは放置すると塗装へ侵食する可能性があるため、車両の保管環境や使用状況、洗車頻度によって異なりますが、3〜6か月を目安におすすめしています。
MAINTENANCE+では、
スケール
鉄粉
油脂汚れ
まで含めた除去を行います。
こちらも車両状態によって異なりますが、6〜12か月を目安としています。
鉄粉や油脂汚れは、スケールのようにすぐ塗装ダメージへつながるものではありません。
そのため、MAINTENANCEの際に実車を確認し、MAINTENANCE+が必要なタイミングをご案内しています。
どちらのメニューも、最後に犠牲被膜を施工し、メインのコーティング被膜を保護します。
もちろん、メンテナンスには時間と費用がかかります。
また、一度施工すれば終わりというものでもありません。
さらに、すでに塗装まで侵食してしまったダメージを、メンテナンスだけで元通りにすることはできません。
だからこそ、
ダメージになる前に汚れを除去する
ことが重要です。
コーティングメンテナンスについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
コーティング車はなぜメンテナンスが必要?撥水低下と汚れの関係を専門店が解説
E.C.D GARAGEでは、施工店の役割は、コーティングを塗って納車するところまでではないと考えています。
施工時に、
どのようなコーティングなのか。
どのような汚れが付着するのか。
どのくらいの頻度で洗車すればいいのか。
どのタイミングでメンテナンスが必要なのか。
何を放置すると塗装ダメージへ進行する可能性があるのか。
こうしたことまでオーナー様へ伝えることも重要です。
どれだけ丁寧に施工しても、その後の管理方法が分からなければ、良い状態を維持することは難しくなります。
コーティング施工は、決して安いサービスではありません。
一方で、施工中にオーナー様がその場で工程を確認できることはほとんどありません。
どのような下地処理を行ったのか。
本当に研磨を行ったのか。
どこまで細かく脱脂したのか。
どのような環境でコーティングしたのか。
拭き残しの確認をどこまで行ったのか。
十分な硬化時間を確保したのか。
こうした作業は、完成した車両だけを見ても分かりにくい部分です。
だからこそE.C.D GARAGEでは、施工工程や施工環境、考え方をできる限りオープンにすることを大切にしています。
YouTubeや施工事例でも、完成車だけを掲載するのではなく、
洗浄
ケミカル処理
研磨
脱脂
コーティング塗布
拭き取り
照明を変えた確認
最終チェック
まで、実際の施工工程を公開しています。
高額な施工だからこそ、
「何を塗ったか」だけではなく、「どこで、誰が、どのような工程を積み重ねて仕上げたのか」まで確認して施工店を選んでいただきたい。
これがE.C.D GARAGEの考え方です。
E.C.D GARAGEでは、他店でコーティング施工された車両についてもご相談いただけます。
例えば、
コーティングの拭き残し
コーティングムラ
硬化不足によるシミ
下地処理不足
脱脂不足
スケールの蓄積
他店施工後の再施工
施工されたコーティングの種類が分からない車両
などでも、まず現在の状態を確認します。
そのうえで、
洗浄で改善できるのか。
ケミカル処理が必要なのか。
研磨が必要なのか。
既存被膜を除去する必要があるのか。
再施工が必要なのか。
を判断します。
今回紹介した内容は、他店施工を否定するためのものではありません。
コーティング施工は、使用する薬剤だけでは品質を判断できない仕事です。
同じコーティング剤を使用していても、
下地処理
脱脂
施工環境
塗布方法
使用するクロス
拭き取り
照明による確認
硬化
納車後の説明
メンテナンス
によって結果は変わります。
重要なのは、問題が起きたときに原因を正しく見極めることです。
コーティングの仕上がりを安定させるには、
施工前の洗浄・下地処理
必要に応じた研磨
適切な脱脂
コーティング剤の特性に合わせた塗布
状態の良いクロスを使った拭き取り
複数の照明による確認
適切な環境での硬化
施工後のメンテナンス説明
まで必要です。
一つの工程だけ優れていても、ほかの工程が不十分であれば仕上がりへ影響します。
E.C.D GARAGEでは、コーティングを単純に「塗る作業」とは考えていません。
塗装状態を確認し、必要な下地を作り、施工環境を整え、適切にコーティングを施工し、複数回確認する。
さらに、納車後も良い状態を維持できるようメンテナンスについてお伝えする。
その一連の工程すべてが、コーティング施工です。
他店で施工したコーティングのムラや拭き残し、シミ、メンテナンス不足による汚れなどでお困りの場合も、現在の状態を確認したうえで必要な施工をご提案します。
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