今回ご入庫いただいたのは、R8年式 LEXUS NX350 F SPORT。
ボディカラーは、グラファイトブラックガラスフレーク〈223〉です。
新車納車当日に、そのままE.C.D GARAGEへお持ち込みいただきました。
当初のご相談内容は、PREMIUM|セラミックコーティングとフロントフルPPF。
オーナー様は3〜4年ほど乗った後に売却する予定で、その際に飛び石による傷で査定額を下げたくないという理由から、フロント周りをPPFで保護したいというご希望でした。
ただ、実際に見積もりを組むと、フロントフルPPFまで施工した場合は当初想定していた予算を超える内容になりました。
そこで今回は、単純に施工内容を削るのではなく、
「3〜4年後に売却する車両へ、どこまでPPFを施工することが本当に合理的なのか」
という部分から一度整理しています。
E.C.Dでは中古車販売・買取を行うE.C.D MOTORINGも運営しているため、施工店としてだけではなく、実際に車両を査定する側の視点も含めてご説明しました。
フロントバンパーやグリルは、飛び石傷が入りやすい場所ではあります。
ただし、小さな飛び石傷だけで査定額が大きく変わるケースは多くありません。
また、バンパーやグリルは交換したとしても、一般的な中古車査定における骨格部位の修復歴には該当しません。
それに対してヘッドライトは、現在のLEDユニットでは部品自体が高額です。
飛び石による傷や欠けが入った場合、表面だけを簡単に補修できるとは限らず、状態によってはユニット交換が必要になります。
そのため今回は、フロント全面へPPFを施工するのではなく、保護する費用対効果が高いヘッドライトへ施工範囲を絞りました。
さらに、日常使用で傷が入りやすい4枚のドアエッジにもPPFを追加。
PPFへ使う予算を必要な箇所へ集中させ、その分をボディ、ガラス、ホイール、ドアインナー、レザーの保護へ振り分ける内容へ変更しています。
結果として、ご希望の予算内に収めながら、3〜4年間実際に乗る中で必要になる保護まで含めた施工内容となりました。
・PREMIUM|CERAMIC COATING
・新車研磨 1工程
・部分傷消し研磨
・運転席、助手席 レザーコーティング
・左右フロントドア内張り レザーコーティング
・全窓+パノラマルーフ 油膜・ウロコ除去
・全窓+パノラマルーフ 専用セラミックコーティング
・ドアインナー セラミックコーティング
・ホイールコーティング
・ヘッドライト PPF
・4枚ドアエッジ PPF
PREMIUMセラミックコーティングの施工内容については、COATING|セラミックコーティングをご覧ください。
飛び石や生活傷から塗装面を保護するPPFについては、PPF|ペイントプロテクションフィルムで詳しくご紹介しています。
入庫後は、まず水回りの作業から進めます。
新車というと、塗装面もガラスも完全にきれいな状態を想像されることが多いですが、実際にはそうとは限りません。
今回のNXも、ボディには若干の付着汚れが確認できました。
鉄粉についてはほぼありませんでしたが、ガラス面には新車とは思えないほど強い油膜が付着していました。
車は工場を出てから納車されるまでに、輸送、保管、ディーラーでの作業や洗車など、複数の工程を経ています。
その間に雨、水道水、油分、排気汚れ、洗車ケミカルなどが付着するため、納車当日であってもコーティングをそのまま施工できる状態とは限りません。
特にガラスは、透明に見えているからといって油膜がないわけではありません。
今回も実際に処理を始めると、全窓とパノラマルーフに油膜と軽度のウロコが確認できました。
油膜が残った状態でその上から撥水コーティングを施工すると、被膜の密着が不安定になり、撥水ムラや耐久性低下につながる可能性があります。
そのため、新車であっても一度ガラス表面をリセットしてから次の工程へ進めます。
ガラスコーティングは、何を塗るかだけで仕上がりが決まるものではありません。
その下に油膜やウロコが残っていれば、どれだけ性能の高いコーティングを使っても本来の性能を発揮しにくくなります。
ボディコーティングと同じく、最終的な仕上がりを左右するのは下地処理です。
水回りを終えた後は、ブースを移動し、塗装状態を確認します。
今回のNXには、新車特有の薄い洗車傷や拭き傷が確認できました。
グラファイトブラックガラスフレークのような濃色ボディは、屋外で見ると一見きれいでも、高演色照明やパネルライトを当てることで細かなスクラッチや表面の乱れが見えやすくなります。
こうした傷は、コーティングを施工すれば消えるものではありません。
傷が残った状態へコーティングを施工すると、その塗装状態の上に被膜を形成することになります。
そのため今回は、新車研磨として全体を1工程研磨。

さらに、局所的に目立つ傷については部分研磨を追加しました。
研磨は傷を消すための工程ですが、同時に塗装表面を削る工程でもあります。
強く磨けば傷は消しやすくなります。
ただし、その分だけクリア層も減ります。
特に今回のような納車直後の新車で、施工直後の見た目だけを優先して必要以上に塗膜を削る意味はありません。
全体に入っていた薄い洗車傷は1工程で整え、より深い箇所だけ部分的に研磨内容を変える。
車両全体を同じ強さで磨かないことで、必要以上の研磨量を増やさず仕上げています。
研磨や塗装面の下地処理については、POLISH|研磨でも詳しくご紹介しています。
研磨工程中にリフトアップして車両下部を確認すると、リアバンパー下側に約10cmほどの擦り傷を発見しました。

納車当日の新車でしたが、通常の目線ではほとんど見えない位置に傷が入っていました。
新車だから傷はないと決めつけてしまえば、このような部分は確認されないまま施工が完了してしまいます。
発見後はオーナー様へすぐにご連絡し、状態をご確認いただきました。

今回はサービスで部分研磨を行っています。
【リアバンパー下部 傷消し研磨】
擦り傷は、すべて研磨で完全に消せるわけではありません。
傷がクリア層の深い位置まで入っている場合、それを完全に消そうとすると周囲の塗膜まで大きく削る必要があります。
見た目だけを優先して深く追い込めば、結果としてその部分だけ塗膜を薄くしてしまいます。
今回は傷の深さを確認しながら、塗装への負担を抑えられる範囲で研磨し、可能な限り目立たない状態まで整えました。
研磨完了後は脱脂を行い、PPF施工へ進みます。
まずはヘッドライトから施工。


今回ヘッドライトへPPFを施工した理由は、単に飛び石傷を防ぐためだけではありません。
オーナー様は3〜4年後の売却を予定されています。
フロントバンパーやグリルは、多少の飛び石傷があったとしても査定への影響が限定的な場合が多く、交換したとしても骨格部位の修復歴には該当しません。
一方、ヘッドライトはユニット自体が高額で、傷や欠けが深ければ交換費用も大きくなります。
そのため、今回の使用期間と売却予定を考えると、フロント全面へPPFを施工するよりも、ヘッドライトへ予算を集中させる方が費用対効果が高いと判断しました。
PPFは、ただフィルムを貼ればよいものでもありません。
ヘッドライトは湾曲が強く、無理にフィルムを引っ張れば施工時のテンションが残ります。
その状態で仕上げると、時間が経ってから縮みやエッジ浮きにつながる可能性があります。
形状に合わせてフィルムへ掛かる負荷を分散しながら、定着後まで考えて施工しています。
PPFの施工範囲や特徴については、PPF|ペイントプロテクションフィルムもご覧ください。
続いて、4枚のドアエッジへPPFを施工します。


ドアエッジは施工面積としては小さいですが、日常使用で傷が入りやすい部分です。
駐車場の壁や隣の車両などへ軽く触れただけでも、先端部分は塗装が欠けることがあります。
一度塗装が欠ければ、タッチアップでは完全に分からなくすることが難しく、状態によっては補修塗装が必要になります。
そのため、施工面積に対して保護効果を感じやすい箇所です。
E.C.D GARAGEでドアエッジに使用しているPPFは透明度が高く、施工後にフィルムの存在が非常に目立ちにくいものを使用しています。
ドアエッジPPFは細い範囲への施工ですが、位置がずれたり、フィルムの幅が不均一になると境界線が目立ちます。
また、端部へフィルムの厚みが集中すると汚れが溜まりやすく、時間が経過してから施工箇所が目立つ原因にもなります。
保護できればそれで良いのではなく、貼っていること自体が外観の違和感にならないことも重要です。

PPF施工後は、そのまま次の工程へ進めません。
E.C.D GARAGEでは約24時間のインターバルを設け、フィルムを自然に定着させています。
施工直後のフィルム内部には、施工時に使用したソリューションの水分が残っています。
十分に定着していない状態で車両を動かしたり、別の作業で触れたりすると、エッジの浮きやフィルムのズレなど、後々のトラブルにつながる可能性があります。
作業時間を短縮するために、ヒートガンなどで強制的に熱を加えたり、太陽光の下へ車両を出して乾燥を促す方法もあります。
E.C.D GARAGEでは、こうした方法で無理に乾燥を進めることはしていません。
フィルム内部にソリューションの水分が残った状態で強く熱を加えると、その水分自体が熱を持ち、糊層やフィルムの収縮、残水痕など、仕上がりへ影響する可能性があります。
短時間で乾かすことよりも、温度管理した環境で自然に水分を抜き、フィルムを安定させることを優先しています。
24時間後に、エッジの浮き、残水、定着状態を確認してから次の工程へ進みます。
PPFの定着後は、内装のレザーコーティングへ進みます。
今回は運転席、助手席のシートと、左右フロントドア内張りへ施工しました。


レザーコーティングを施工したからといって、汚れや擦れが発生しなくなるわけではありません。
シートは乗り降りするたびに衣類と接触し、皮脂、汗、デニムなどからの色移りといった影響を受けます。
特に運転席と助手席の外側サポートは、使用頻度が高いほど擦れや汚れが集中しやすい箇所です。
ドア内張りも、乗降時に腕や衣類が接触しやすく、気付かないうちに汚れが蓄積します。
新車時から保護層を作ることで、汚れが素材へ直接入り込みにくくなり、その後のクリーニングもしやすくなります。
水回りで油膜とウロコを除去したガラスへ、専用セラミックコーティングを施工します。

今回のNXは新車でしたが、ガラスには強い油膜が付着していました。
こうした状態へそのままコーティングを重ねても、油膜の上へ被膜を作ることになります。
下地が不均一であれば、撥水にもムラが出やすくなり、耐久性にも影響します。
先に油膜とウロコを除去し、ガラス表面を均一な状態へ戻してから施工することで、初めてコーティング本来の性能を発揮させやすい下地になります。
続いて、研磨と脱脂を終えたボディへPREMIUMセラミックコーティングを施工します。

研磨によって塗装面がきれいに見えていても、表面に研磨剤由来の油分が残っていれば、コーティングの密着へ影響します。
そのため、研磨後は脱脂を行い、塗装面をコーティング施工に適した状態へ整えています。
特に今回のようなブラック系のボディでは、施工時の拭き残しや高スポットが目立ちやすく、硬化後に発見すると修正が難しくなります。
コーティングを塗布する作業よりも、その後に均一な状態へ仕上げられているかを確認する工程が重要です。

施工後はパネルライトを使用し、角度を変えながら一面ずつ確認します。
拭き残しが硬化すると、白濁、ムラ、艶の不均一として残る場合があります。
通常の天井照明だけでは見えないものもあるため、照明を変えながら確認しています。
PREMIUMを含むボディコーティングメニューについては、COATING|セラミックコーティングをご確認ください。

ホイールは車両が地面へ接地した状態では、下側やスポーク周辺に見えにくい部分ができます。
リフトアップして作業しやすい高さまで上げることで、身体の姿勢や見る角度に左右されにくい状態を作り、ホイール表面全体を確認しながらコーティングを施工しています。
ホイールは、ブレーキダスト、鉄粉、泥、水分などが集中しやすく、ボディよりも過酷な環境にさらされる部分です。
コーティングを施工したからといって、ブレーキダストが付着しなくなるわけではありません。
目的は、汚れの固着を抑え、その後の洗浄をしやすくすることです。

特に濃色ホイールは、汚れや水ジミが残ると艶が落ちて見えやすいため、定期的な洗浄と合わせて維持していくことが重要です。
続いて、4枚のドアインナーへセラミックコーティングを施工します。
今回の施工範囲は、ヒンジ周辺、ステップ側、ドア内側の塗装面までです。

ドアインナーは普段目立たない部分ですが、雨水、泥、砂、水垢、グリス汚れなどが入り込みやすい場所です。
一方で、通常洗車では毎回細部まで洗浄されることが少なく、汚れを長期間溜めやすい部分でもあります。
特にヒンジ周辺や下側は形状が複雑で、一度スケールや汚れが固着すると清掃に時間が掛かります。
新車時からセラミックコーティングを施工しておくことで、汚れそのものを防ぐことはできませんが、固着を抑え、その後のメンテナンスをしやすくできます。

インナー部分は形状が複雑なため、平面のボディよりも拭き残しが起きやすい場所です。
さらに、ヒンジ周辺や折り返し部分でコーティングが硬化してしまうと、後から研磨機を入れて修正することが難しくなります。
そのため施工後はパネルライトを使用し、段差や折り返し部分まで確認しています。
すべてのコーティング施工が完了した後は、各部の撥水状態を確認します。

ガラスは、施工範囲全体で水の弾き方が揃っているかを確認します。
部分的に撥水状態が弱い場合は、塗布ムラや下地処理不足が残っている可能性があります。

ボディについても、単に水を弾いているかだけを見るのではなく、パネルごとに水の挙動が大きく違わないかを確認します。
ホイールも同様に、施工面全体で水の動きに違和感がないかを確認します。

コーティングは、塗布した時点で作業終了ではありません。
施工後の状態まで確認して初めて一つの工程が完了します。
今回は9泊10日のお預かりとなりました。
PPF施工後に24時間の定着時間を確保したことに加え、研磨、各種コーティング施工、硬化、最終確認、オーナー様のお引き取りスケジュールも含めた日程です。
PPFと複数のコーティングを同時施工する場合、工程を詰め込みすぎると、まだ触れるべきではない場所へ次の作業で触れてしまう可能性があります。
特にPPFは、施工直後のフィルムを安定させる時間を省いてまで納期を短縮する意味はありません。
それぞれの工程に必要な時間を確保し、次へ進める状態になってから作業を進めています。

完成後のヘッドライトは、近距離で見てもPPF特有の白っぽさや輪郭がほとんど分からない状態です。
PPFの役割は保護ですが、施工したことで外観に違和感が出てしまえば、新車本来の質感を損ないます。
保護性能と同時に、貼ったことを意識させない仕上がりも重視しています。

ドアエッジについても、フィルムの境界が極力目立たないよう施工しています。
傷が入りやすい部分だからこそ、見た目を変えずに保護できることがPPFのメリットです。

ボディは、新車時に入っていた薄い洗車傷や拭き傷を研磨で整えたことで、グラファイトブラックガラスフレーク本来の深い黒と、光が入った際の粒子感がよりはっきりと見える状態になりました。
濃色車では、傷が減ることで単純に艶が増えるだけではありません。
表面の乱れが減ることで、周囲の景色や照明の輪郭そのものがシャープに映り込むようになります。

ホイールも艶を出すことだけが目的ではなく、これから付着するブレーキダストや汚れを管理しやすくするための施工です。

今回の施工で重要だったのは、最初にご相談いただいたフロントフルPPFを、そのまま施工することではありませんでした。
飛び石からフロント周りを広範囲に守るという意味では、フロントフルPPFは有効です。
ただし、今回のオーナー様は3〜4年後の売却を予定されています。
その条件であれば、PPFへ予算を集中させるよりも、実際に部品交換時の負担が大きいヘッドライトを重点的に保護し、残った予算をボディ、ガラス、ホイール、レザー、ドアインナーへ振り分けた方が、所有期間全体で見たメリットは大きいと判断しました。
すべての車両に同じ施工内容が必要なわけではありません。
長く所有する車。
数年後に売却する車。
高速道路を多く走る車。
屋外保管が中心の車。
使用環境や所有期間が変われば、優先するべき施工も変わります。
E.C.D GARAGEでは、施工できるメニューを増やすことではなく、
「その車に何が必要なのか」
「逆に、何を施工しなくても問題ないのか」
まで含めてご提案しています。
各施工メニューと料金については、MENU & PRICEからご確認いただけます。
施工内容について迷われている場合は、現在の車両状態、保管環境、今後の所有期間まで確認したうえでご提案いたします。
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