以前からお付き合いのある静岡県三島市のオーナー様より、車両探しから納車前の仕上げまで一括してご依頼いただきました。
ご希望の条件は、後期型のLEXUS RX450h F SPORT、グラファイトブラックガラスフレーク〈223〉、赤革シート、パノラマルーフ、TRDフルエアロ、修復歴なし。さらに予算を踏まえて候補を絞り込み、E.C.D MOTORINGで仕入れた一台です。
走行距離は2万km台。オークション評価は4.5点、外装評価A、修復歴なしと、中古車市場では良好な個体と判断できる内容でした。
しかし、評価点が高いことと、塗装面がそのまま納車できる状態であることは同じではありません。今回のRX450hでは、仕入れ後に専用照明で確認したことで、通常の車両写真や屋外での確認では把握しにくい上面のダメージが見つかりました。

・LEXUS RX450h Fスポーツ
・ボディカラー:ブラック
・インテリア:赤革シート
・パノラマルーフ
・TRDフルエアロ
今回は「車両の仕入れ段階からすべて任せたい」というご依頼をいただき、上記条件に基づき個体選定から対応させていただきました。
E.C.D GARAGEでは、日本全国すべてのオークション会場の車両データにアクセスし、流通履歴・評価点・修復歴の有無に加え、出品背景や写真では判断できないリスク要素まで含めて精査を行います。
単に“状態が良い車”を選ぶのではなく、「最終的にどのレベルまで仕上げられるか」を前提に個体を見極めています。
ボディ全体を照明下で確認すると、ボンネット、ルーフ、リアゲート上部に、スケールを長期間放置したことで生じた陥没状のダメージが広がっていました。
前オーナー時代にガラスコーティングが施工されていた履歴は確認できましたが、その後にスケールを適切に除去するメンテナンスが行われず、上面を中心にダメージが進行していました。
スケール汚れは、付着した段階では目立つ輪ジミとして見えるとは限りません。水の流れ方や触感、拭き上げた後の水滴の残り方に変化が現れ、目で明確に見える頃には、汚れではなく塗装面のダメージへ進んでいる場合があります。
今回も、表面に付着したスケールを除去すれば終わる状態ではありませんでした。陥没した部分は塗装面そのものに残っているため、ケミカルだけでは改善できません。通常の研磨で表面の曇りを整えても、照明を当てると陥没の輪郭が残る状態でした。
ここで必要になったのが、サンディングを含む塗装面の再生です。
研磨に入る前に、ボディ全体へDEEP WASH(徹底洗車)を行いました。
シャンプー洗車後、ケミカルを使い分けて鉄粉、スケール、油脂汚れを除去します。特にボンネット、ルーフ、リアゲート上部では反応が多く見られました。
この工程には、研磨する前に「付着物」と「塗装面に残ったダメージ」を切り分ける目的があります。汚れが残ったままでは、どこまでがケミカルで除去できるものなのか、どこからが研磨を必要とするダメージなのかを正確に判断できません。
DEEP WASH後に再確認すると、表面の汚れは除去できましたが、上面パネルには陥没状のダメージが残りました。この段階で、通常の研磨だけでは十分な改善が難しいと判断しました。
研磨は、コンパウンドとポリッシャーで塗装表面を少しずつ整える作業です。一方、今回のようにダメージが塗装面へ陥没している場合、その周囲を均一に整えなければ輪郭を目立たなくできません。
ただし、塗膜は有限です。ダメージがあるからといって、すべてを無条件に削り切ることはできません。
そこで施工前に膜厚計で各パネルを測定し、塗装状態を確認。サンディングはボンネット、ルーフ、リアゲート上部の必要な範囲へ限定しました。
最初に1500番でダメージの状態を見ながら手磨きし、その後2000番、3000番へと段階的に番手を細かくしていきます。機械任せに一度で削るのではなく、照明下で変化を確認しながら手作業で進めることで、削る範囲と深さを調整しました。
今回の目標は、数値上すべてのダメージを消し切ることではありません。塗膜を必要以上に減らさず、通常の使用環境では肉眼でほぼ確認できないところまで改善することです。
サンディング後は、塗装面に細かな研磨跡が残ります。そのため、ポリッシャーによる重研磨、中研磨、軽研磨、仕上げ研磨へと工程を移し、サンディング跡を段階的に整えました。
研磨工程は、傷を強く削れば完成する作業ではありません。どこまで改善できるかだけでなく、今後も残しておくべき塗膜とのバランスを見ながら仕上げる必要があります。
グラファイトブラックガラスフレーク〈223〉は、暗い場所では黒に近く見えますが、照明や日光が当たると塗装に含まれる粒子が表情を見せるカラーです。
施工前は、上面に残った陥没と塗装面の曇りによって、照明の輪郭が乱れて見える状態でした。サンディングと複数工程の研磨を終えると、陥没状のダメージは肉眼ではほぼ確認できないレベルまで改善。ボンネットへ映る照明のラインも明確になり、塗装色が本来持つ粒子感と奥行きが見える状態へ整いました。
今回の仕上がりを作っているのは、コーティングによる艶だけではありません。ダメージの深さを確認し、必要な部分だけをサンディングし、その跡を複数の研磨工程で整えた下地が、完成時の映り込みにつながっています。
塗装面を整えた後、ボディにはPREMIUMメニューでセラミックコーティングを施工しました。
メニューは、オーナー様の駐車環境、洗車頻度、予算、求める仕上がりを確認したうえで選択しています。今回は車両の仕入れから任せていただいていたため、納車前に外装全体を一度リセットし、今後維持していくための土台を作ることも目的でした。
研磨には塗膜を減らすデメリットがあります。一方で、必要最低限の研磨によって塗装面を整えることで、外観だけでなく、コーティング施工後の密着性、水滴の滑水性、表面のスリック性も高められます。
今回もダメージの改善に必要な範囲を見極め、塗膜への負担を抑えながら仕上がりを引き出しました。
ボディと併せて、全ウィンドウとパノラマルーフに付着していた油膜とウロコも除去しました。
ケミカル処理とガラス研磨を使い分け、ガラス面を整えてから窓専用セラミックコーティングを施工しています。
ガラスは視界に関わる部分であり、油膜やウロコが残ったままでは、雨天時に水が不規則に残りやすくなります。今回はボディだけを仕上げるのではなく、ガラスとパノラマルーフまでリセットし、車両全体を納車後に管理しやすい状態へ整えました。
中古車の評価点は、候補を選ぶうえで重要な情報です。しかし、評価4.5点、内装点A、修復歴なしの個体であっても、専用照明で塗装面を確認すると、商品写真だけでは分からないダメージが残っていることがあります。
今回のRX450hも、条件やオークション評価だけを見れば、そのままでも良質車として販売できる一台でした。それでもE.C.D MOTORINGでは、仕入れた時点の評価だけで納車状態を決めません。
E.C.D GARAGEで塗装面を確認し、DEEP WASHで付着物を除去したうえで、必要な研磨方法を判断する。販売と施工の両方を自社で行うからこそ、仕入れ時の評価と、実際に納車する状態の間にある差まで埋めることができます。
車両には通常12か月のカープレミア保証を用意していますが、今回はオーナー様のご希望により、追加料金でプラチナメニューを24か月へ延長しました。外装を仕上げるだけでなく、納車後の故障リスクにも備えたうえでお渡ししています。
施工後は、ボンネット、ルーフ、リアゲート上部に広がっていた陥没状のダメージが肉眼ではほぼ確認できないレベルまで改善しました。
完成した車両をご覧になったオーナー様からは、「ここまで変わるとは思っていなかった」とのお言葉をいただきました。
今回の施工で重要だったのは、ダメージが多いから強く磨いたことではありません。DEEP WASHで汚れとダメージを切り分け、膜厚を確認し、通常の研磨では改善しない部分だけにサンディングを選んだことです。
評価点の高い中古車を探すことと、実際に納車できる状態まで仕上げることは別の工程です。車両選定から塗装の再生、コーティング、ガラス施工、保証まで一貫して組み立てたことが、このRX450hに必要な対応でした。

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